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大きくなるにつれ後者が大となり、原針路の内にはいる。この量は案外小さくL/100程度といわれる。船尾のプロペラの後流を重心の軌跡、即ち旋回圏と見誤ることがある。
(2)第2期
キックを終わり重心が原針路から内側に曲がり始めてから円運動までを第2期といい、前進速度が低下し重心の軌跡の曲率半径が小さくなって行く時期である。旋回角速度が最大値になり、かっ旋回軌道が大体円形になるまでの回頭角度は約1RADIANで、完全に定常旋回になるのは約2RADIANである。
普通の船の旋回であれば、船首は常に重心軌跡の内側にあって重心の進行方向とある角度(これを偏角という)をなして進行し、水抵抗の分力として船体の中心線に平行な力と垂直な力を受ける。従って、この船体中心線に垂直な力により重心のまわりにモーメントを生じ、舵の旋回モーメントと同じく、ますます船を旋回させようとする。同時に重心の

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第2−16図

まわりの角速度が増加し船の旋回に抵抗するモーメントが生じる。第1期、第2期は偏角角速度が変化しており、旋回モーメント及び旋回に抵抗するモーメントも刻々変化している非定常状態である。
重心の旋回軌跡の曲率の中心0から船の中心線に垂線を下し、その足をP’とすれば、船はP’点において曲率半径OP’の曲線に接する運動をする。従ってP’点の速度は中心線の方向のみで、中心線に直角な方向の分速度はない。P’点以外では中心線に直角な方向にP’からの距離に比例する分速度があり、P’点に立って眺めると船はP’を中心として回転するように見える。これを転心(PIVOTING POINT)と名付け、船首から重心ま

 

 

 

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